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溺れる金魚
第7章  友と
特にこの電話の主である沙保里とは短大に入ってからの付き合いではあったが、まるで昔から互いを知っていたかのように仲が良かった。



どちらかと言うといつもリーダー的存在の沙保里とは全く逆の性格である紗良が、それなのに一番の親友であることを周りからも不思議がられてはいた。



沙保里にだけは後に夫となる佐野崇志に対しての恋心を早い段階で打ち明けていたから、家族にも言えない今でも縮まることの無い彼との距離を唯一知っている人でもあった。


友人たちはそのほとんどがまだ世間一般での認識とずれなく新人の枠から特出することもなく、日々忙しく働いていた。

短大を卒業してすぐに結婚をして専業主婦になったのは紗良一人で、沙保里も高校から付き合っていた恋人と半年前に入籍を果たした。



沙保里の夫は高校を卒業と同時に地元の消防署で働いている。今日はその彼が勤務の為夜に不在なのを良いことに何次会まででも付き合うわと息巻いていた。





紗良は専業主婦であったが、沙保里は子どもが生まれるまではと中小企業の事務をしている。



紗良にはそれが正直羨ましかった。
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