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溺れる金魚
第7章  友と
この年で専業主婦になどなるものではない。



紗良には夫の稼いできたお金をあぶくのように使い込むことは出来なかった。

紗良が生まれてきたときには既に父の会社は起動に乗っており支店も幾つか出せていたから、お金に困ったことはなかった。


ただ、それより前の苦労を母は知っていたからこそ、紗良は今が裕福でも貧困に陥るのは一瞬だと常に言われて育ってきた。



それに、母も抵抗があったのだろう。

どこか他所に居る父の愛人。


自分達を平気で裏切る夫の稼いだお金に触るのも腹立たしかったに違いない。



「佐野さんは元気?」


結婚式で見たのが唯一の親友の夫。

その彼が未だに親友の心を掻き乱していることを沙保里は憂いていた。




全員で集まる前に、小さな喫茶店で紗良と沙保里は先に合流して互いの近況を話すのがいつしか習慣になっていた。
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