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溺れる金魚
第3章 姫金魚
佐野崇志。
元々彼は父の秘書だった。
仕事の出来る彼に、父は絶対的な信頼を寄せていた。
だから娘をセットで会社を彼に譲って、自身はその経営から一切身を引いた。
父の命令だったから結婚したのかと、問えば彼は何と答えるのだろうか。
怖くてそんなこと聞けるはずもないのに、事ある毎にその疑問が脳裏に漂う。
長身の細身に、きっちりとセットされた七三の髪型。
出会った当時はまだ黒渕の眼鏡だったから目付きも今よりも少しは柔らかさがあった。
それでも切れ長に加えて僅かにつり上がった目尻は狐のよう。
そんな彼に……。
紗良は彼に恋をしていた。
最初はその目付きから怖い人なのかと思っていた。
会話を重ねていく内に時折見せる笑顔が優しくて、それがいつしか恋心へと変化していった。
高校生の時、初めて言葉を交わしたあの時からだからもう……と指を折りながら数えて改めて自身が年を重ねたことに驚く。もう出会って七年が経つのかと。
短大在学中に婚約をし、卒業と同時に入籍を果たした。
紗良はずっと一途に彼だけを想っていた。
いつか、このような奇跡が起きるのではとずっと願っていたことが……。
今は叶って共に生活をしている。
元々彼は父の秘書だった。
仕事の出来る彼に、父は絶対的な信頼を寄せていた。
だから娘をセットで会社を彼に譲って、自身はその経営から一切身を引いた。
父の命令だったから結婚したのかと、問えば彼は何と答えるのだろうか。
怖くてそんなこと聞けるはずもないのに、事ある毎にその疑問が脳裏に漂う。
長身の細身に、きっちりとセットされた七三の髪型。
出会った当時はまだ黒渕の眼鏡だったから目付きも今よりも少しは柔らかさがあった。
それでも切れ長に加えて僅かにつり上がった目尻は狐のよう。
そんな彼に……。
紗良は彼に恋をしていた。
最初はその目付きから怖い人なのかと思っていた。
会話を重ねていく内に時折見せる笑顔が優しくて、それがいつしか恋心へと変化していった。
高校生の時、初めて言葉を交わしたあの時からだからもう……と指を折りながら数えて改めて自身が年を重ねたことに驚く。もう出会って七年が経つのかと。
短大在学中に婚約をし、卒業と同時に入籍を果たした。
紗良はずっと一途に彼だけを想っていた。
いつか、このような奇跡が起きるのではとずっと願っていたことが……。
今は叶って共に生活をしている。