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**情画**
第7章 曙


『誕生』
二人が達する瞬間だと明らかなのだが、やはりこれも意味がわからない。


ただ、ほんの一瞬を逃さず捉え、美しく切り出す沙絵さんの腕にうっとりと魅せられていた。

先生に描かれた時と同じ、被写体は自分なのに、一つの絵として完成したものを美しいと思うのだ。

シャッターを切るだけなどと侮れない才能を感じた。

『追悼』
二人が果てて眠りに落ちる姿。

きっとこの写真のあと、
『引っぺがされた』のだろう。

結局、『標的』以外のタイトルの意味はわからなかった。

逆に『標的』の意味も思っているのと違うのかもしれない。


ワタシは先生の絵のカーテンを開けた。

紙も絵の具も特殊なものなんだろうか…

色褪せずあの時を封じ込めたようにワタシがそこにいる。
悲しいことに絵よりもワタシのほうが色褪せている。八年前の自分はこんなにも綺麗だったのだろうか。

置き去りにされた記憶、心、想いがすべて詰まっていた。


「いずみさん、シャワー浴び損ねるわよ。」

沙絵さんに呼ばれるまで、絵に取り込まれていた。

「沙絵さん、タイトルの意味は…」

「今日は感想は訊かない約束なの。」

「質問もですか?」

「そうよ。」



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