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**情画**
第3章 闇夜
沙絵さんは今、ワタシのことをお母さんと呼びかけた?
気にはなったけど進む。
「また逃げ出すの?
私を置いて…」
答えない。先生に抱き締められた感触だけ忘れずに帰らなきゃ…
ワタシは此処に居ちゃいけないんだ。
「あはっ、あははっ、あははははははっ」
沙絵さんが突然笑い出す。狂ってしまったの?
心配になるけど進んだ。
「忘れてるのね。あははははははっ」
何を忘れてるんだろう。
そう思いながらも進む。
グンッ…ジャリッ…
うぁ…
「首輪をつけてリードは私が持ってるってこと、
忘れてたのね。」
首輪が引っ張られたと同時に沙絵さんに告げられる。
ああ、繋がれていたんだった。
「いずみさん、戻ってきなさい。」
「嫌です。」
「どうして?」
「理由などありません。」
「お父様、抱えてきて、傷つけちゃ駄目なんでしょう?」
ずっと黙っていた先生の足音がする。
嫌だ、来ないで欲しい。
この涙を見られたくない。
横から犬を抱えるように上体の下に手が通された。
屈みながら囁くように言われる。
「僕には貴女が必要だから…」