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**情画**
第3章 闇夜

沙絵さんに聞こえないように一瞬かけられた言葉。
意味を聞き違えてないか、何度も反芻する。

『僕には貴女が必要だから…』

そのあとは、犬のように抱えられ、ソファーに連れ戻された。

ワタシは涙を見られないように突っ伏していた。

「いずみさん、どうして逃げ出そうとしたの?」

沙絵さんがワタシの頭を撫でてきた。

「痛いことはしていないじゃない。」

背中も撫でられる。

「二人で気持ちよくなってたじゃない。」

優しく、撫でながら、穏やかな声で話してくる。

「私のペットが嫌だったの?
ならリードは外すから、でもね、首輪だけはして欲しいの。
貴女のために子供の時に用意していたものなの。」


あの日には用意してあったということ?
歪んではいるけど、それはワタシの存在を許していたということ?




「ごめんなさい。」

その言葉はほぼ同時に二人の口から放たれた。

沙絵さんの手がワタシの肩を掴み、起こされる。
沙絵さんも涙を浮かべていた。

「まだ、あまり多くは話せないけど、私、いずみさんのこと嫌いじゃないのよ。」

沙絵さんがワタシの涙を拭う。


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