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住み込みメイドのエッチなお仕事。
第10章 執着
「さくら、い…さ、……好き……」

熱に魘される涼子の額に手を当てた時、涼子は嬉しそうに微笑んでそう言った。手を離しても目覚めることはなく、それは寝言のようだったけれど。

櫻井は、涼子が自分に向ける視線の意味を、正しく理解していた。
淡い恋愛感情。けれど、メイドである為に櫻井以外の男に抱かれる自分を、恥ずかしく思っていて、それが故にこの恋を諦めていることも、櫻井は理解していた。

本当は、涼子の気持ちに気づかないふりをするつもりだった。時間が経てば、違う誰かを愛する日が来るだろうから、と。

涼子の意識があるかは、櫻井はわかってはいなかった。

櫻井には、屋敷では旦那様と長男 貴俊しかしらない過去がある。櫻井は貴俊に拾われて屋敷に入った……妹と一緒に。妹は……櫻井の元を去り、屋敷をでた……男に身請けをされて。

櫻井は妹を忘れられない。彼女以外を、愛しいと思うことができない。

妹を愛し、彼女を傷つけ、彼女を忘れられない私は、涼子を幸せにできない。

もし櫻井の声が聞こえていたのなら、弱った涼子を追い詰めてしまうかもしれない。その危惧を分かってはいても、櫻井は涼子に告げる。

「貴方を愛し、幸せにしてくれる人を、愛してください」

涼子の閉じた瞳から伝った涙を、櫻井は拭ってやることが出来なかった。
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