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住み込みメイドのエッチなお仕事。
第10章 執着
熱が上がっているのか、頭がガンガンと割れるように痛い。力の入らない身体を動かすことも出来ず、涼子は瞼を上げるとも億劫な状態だった。
「ぅ……」
苦しくて呻いていると、額にひんやりとしたものが当てられた。気持ちが良くて ほぅと息が漏れる。
熱を確かめたらしい掌が離れ、冷えたタオルが額に乗せられる。
櫻井さん……
眠りに落ちる前にベットの横に腰を下ろしていた櫻井が、まだ側に居てくれていると知って、涼子の心がほんわりと暖かくなる。熱が出た原因はともかく、熱出してラッキー、くらいに涼子は思った。
「涼子さん……」
櫻井が涼子の名前を呼ぶ。答えたくても涼子は瞼を開くことも口を開くことも、手を伸ばすこともできない。唯一自由になる耳だけをそばだてる。
櫻井の手が眠る涼子の髪を撫でる。
「私ではなく…他の誰かを好きになってください」
…え?
「私は…貴方に答えられない」
な、なんで?なんで今それを言うの?
飛び起きて詰め寄りたかったが、身体は鉛のように動かない。瞼も口も、動かせない。
「私は…親を殺した前科者です…それに、私は妹を忘れられない」
…な…?
櫻井は涼子の髪を撫でながら静かに語る。
「私は…妹を愛し、彼女を犯しました……彼女は私を受け入れてはくれなかったけれど……私は…彼女しか愛せないのです」
静かな、櫻井の独白。
涼子が好きだと思ったバリトンの声が苦しげに歪む。
こんな声を聞きたかった訳じゃない。
こんな声で、
心の傷を暴けさせたかった訳じゃないのに…
頭がガンガンとひどく痛くて、
心までキリキリと痛くて…
ごめんなさい、櫻井さん……
涼子は意識を手放した。
「ぅ……」
苦しくて呻いていると、額にひんやりとしたものが当てられた。気持ちが良くて ほぅと息が漏れる。
熱を確かめたらしい掌が離れ、冷えたタオルが額に乗せられる。
櫻井さん……
眠りに落ちる前にベットの横に腰を下ろしていた櫻井が、まだ側に居てくれていると知って、涼子の心がほんわりと暖かくなる。熱が出た原因はともかく、熱出してラッキー、くらいに涼子は思った。
「涼子さん……」
櫻井が涼子の名前を呼ぶ。答えたくても涼子は瞼を開くことも口を開くことも、手を伸ばすこともできない。唯一自由になる耳だけをそばだてる。
櫻井の手が眠る涼子の髪を撫でる。
「私ではなく…他の誰かを好きになってください」
…え?
「私は…貴方に答えられない」
な、なんで?なんで今それを言うの?
飛び起きて詰め寄りたかったが、身体は鉛のように動かない。瞼も口も、動かせない。
「私は…親を殺した前科者です…それに、私は妹を忘れられない」
…な…?
櫻井は涼子の髪を撫でながら静かに語る。
「私は…妹を愛し、彼女を犯しました……彼女は私を受け入れてはくれなかったけれど……私は…彼女しか愛せないのです」
静かな、櫻井の独白。
涼子が好きだと思ったバリトンの声が苦しげに歪む。
こんな声を聞きたかった訳じゃない。
こんな声で、
心の傷を暴けさせたかった訳じゃないのに…
頭がガンガンとひどく痛くて、
心までキリキリと痛くて…
ごめんなさい、櫻井さん……
涼子は意識を手放した。