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3分間のナイトトリップ
第2章 美味しいキノコを召し上がれ

「エミぃ~、いるのぉ?」
その日の夕方、会社を無断欠席したうえに、連絡もつかないのを心配して、マキがエミの家を訪ねてきた。
昔ながらの玄関の引き戸は半分開けっ放しで、マキが中を覗くと、見覚えのある鞄が床に投げ出してあった。
「エミー!入るわよぉ!」
明らかにおかしな雰囲気に、用心しながら親友の家に入る。
病気で寝込んでいるのかと思って来てみたものの、ちょっと様子が違うようだ。
居間と寝室を探したが誰もおらず、ふと、庭へ通じる窓が開いているのに気づく。
マキは靴を持って来て、庭に下りた。
「え?」
アジサイのそばに、この間、自分が草むしりした時にはなかったものをみつけた。
(なんじゃ、あれ)
恐る恐る近づく。
それは、蘭に似た、赤い大きな花だった。
背丈は1mくらいあり、てっぺんに、大輪の花が一輪咲いている。
その花の形の異様さに気付くと、マキは近づくのをやめて立ち止まった。
真っ赤な花びらが二つ、対になるように開いていて、その中心には、ツボの口のようなものがある。
花は、女の秘所とそっくりな形をしていた。
「うわ、気持ち悪っ」
マキは両手で自分を抱くようにして顔をしかめた。
その時。
花の中心の口から、蜜のような液体が、あふれ出た。
蜜はとろりと長い糸を引いて、キラキラと光りながら、湿った土の上にこぼれ落ちた。

