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3分間のナイトトリップ 
第3章 サロンに咲く花


でもこの人は、顔だけじゃなくて、腕も良いのかも。


サロンの隅のソファーに座らされ、一通りの説明と髪のカウンセリングを受けると、その熱心な様子に再び期待が高まってきた。

顔は日本人離れしているが、話し方はいたって普通で訛りも無いので、ハーフであっても普通に日本で育った人なのだろう。



「では、こちらへどうぞ」



カウンセリングが終わると、店の奥の小さな部屋に通される。

部屋は、中央に置かれたシャンプー台でいっぱいいっぱいの広さしかなく、間接照明だけでいっそう薄暗い。

香りの元がここなのか、店に入った時から香っているアロマがさらに強く感じられた。



「少し、お待ちを」



小夜子をシャンプー台の椅子に座らせると、店主はいったん部屋を出て行った。

ひとり残されて、小夜子は小さな部屋の中を見回す。

ここの壁にも小さな棚が取り付けられていて、カラフルなガラスの小瓶がたくさん飾ってあった。



(え?)



ふと、背後の角に飾られた花に目を奪われる。

陶器の花瓶に、一輪の赤い蘭のような花が生けてある。

その花が、女性のアソコにそっくりな形をしているのだ。

二つの大きな花びらが対になっていて、中央には、ツボの口のようなものが開いている。



(造花かしら・・・?)



小夜子は椅子から身を乗り出し、見たことのない妖しい姿の花を見つめる。

造花にしても、本物にしても、女性が来る店に飾るのは、悪趣味ではないか。



(なんなの、この店、大丈夫なの?)



小夜子の胸に不安がよぎる。

よく考えれば、知らない男性と二人っきりで、窓もない密室にいるのだ。

友達の紹介だからって、安心だとは限らない。
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