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3分間のナイトトリップ 
第3章 サロンに咲く花
サロンの店主は、壁に飾られたガラスの小瓶の中から、深紅色のものを手に取った。



(今日の客には、この色がいいかな)



新客の女はシャンプー台の上に横たわり、眠ったまま、快楽のうめき声をあげていた。

時々背中を弓なりに反らせ、恍惚の表情を浮かべている。

サロンには、花の放つ香りが強烈に充満していて、女が最高に淫らな夢を見ていることが分かった。



(今日のは凄い、極上の蜜が取れそうだ)



店主は、深紅の小瓶の蓋を開け、部屋の片隅にある赤い花のほうへ差し出した。

花の中央に開いている口からは、トロリとした蜜が滴り落ちている。

香りの強いその蜜を、小瓶に受けた。


花は女に淫らな欲望を叶える夢を見せ、女の欲情は、花に生気を与えて蜜を流させる。

花と女が反応し合ってできる蜜を採取するのが、店主が代々続けてきた本当の仕事だった。


目が覚めれば、客は夢を覚えていない。


ただ、性的な欲望を満たした充足感で、誰もが幸せな表情で帰っていく。



(さあ、そろそろお目覚めかな)



店主は、蜜で満たされた小瓶を壁の棚に戻し、横たわる女の恍惚の寝顔を見つめた。









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