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3分間のナイトトリップ
第4章 食前酒

戸締りをして、家を出る。
あの人のマンションまで、たっぷり20分はある道のりを、蓉子はいつも歩いて向かう。
スーパーに買い物に行く時と同じ普段着の下は、豪華なレースのついたキャミソールとむき出しの尻。
普通の主婦の姿の下に、欲情した体を隠し、すました顔で町の中を歩く。
夫を裏切る罪悪感が、ゾクゾクする背徳感にすり替わっていく。
淫らな姿をスカートの下に隠しながら、あの人の待つ部屋に向かうこの時間は、食前酒のようなものだった。
美味しいご馳走をさらに美味しくいただくために、食欲を刺激するための甘美な時間。
歩きながら、これから起こるであろう情事を妄想する。

