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3分間のナイトトリップ
第1章 はじまり、もしくは終わりの物語

「で、どうして人間になって、またうちへ来たわけ?」
若い男の姿になった小鳥を家にあげ、丸いコーヒーテーブルを挟んで向かい合いながら、問いかける。
夢を見ているのか、孤独な毎日を過ごすうちに頭がおかしくなってしまったのか、テーブルの下に隠した手の震えが止まらない。
「どうしてって、うぅん・・・恩返し?」
相手は長い首を傾け、ちょっと困ったように答える。
「お、恩返し?」
これから納戸にこもって機織りでもするのか。
立ち上がって、冷蔵庫から寝酒用の赤ワインを取り出し、手近にあったマグカップになみなみと注ぐ。
お酒は強くないので普段はそんな量は飲まないが、今は飲まないとどうにかなりそうな気分だ。
「やめてよ、そんなに飲めないでしょ」
ワインを一気に流し込もうとする手を、男の手が包み込むようにして止める。

