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ポン・デ・ザール橋で逢いましょう
第1章 其の壱
忍が触れる全てが、身体中から沸き起こる甘い痺れを喚起する。
…こんな…こんなことって…。
百合子は混乱しながら、息を乱す。
「…感じやすいんだね、百合子…」
忍が百合子の小さな貌の隅々までキスを落とす。
その感触すらも、背筋からぞくぞくとした未知の感覚を呼び起こす。
「…ああ…忍さ…ん…」
羞恥から薄紅色に染まった細く長い首筋に唇を当てて、囁いた。
「…全部…脱がすよ…」
反射的に眉根を寄せ、子どものようにいやいやをする。
「大丈夫だから…。恥ずかしいなら眼を閉じていて…」
忍の手がネグリジェの下肢にかかる。
裾の長い滑らかなネグリジェはあっと言う間に取り去られ…百合子の美しくも儚げな身体に残る着衣は、白い絹の小さな下着のみとなった。
すぐさまほっそりとした脚を縮めてしまいそうになる百合子を組み敷く。
艶やかな長い黒髪を掻き上げてやりながら、告げる。
「…全部…見せて…。百合子の全部を…」
「…いや…やっぱり…無理です…」
涙声で喘ぐのをキスで宥め、その最後の砦とも言うべき下着に手を掛ける。
「…ああ…い…や…」
百合子は唇を噛みしめる。

…六年ぶりに…男に身体の全てが晒される。
その気の遠くなるような羞恥と恐れに、身体を震わせる。
忍は息を飲んだ。
そこには…まさに女盛りを迎えた美しくも艶やかな色香に溢れた肉体があった。
少女のように華奢な身体…ほっそりとした長い手足…白く透き通るような小さな形の良い乳房は高揚から桜色に染まり、乳暈は熟れた果実のように色づいていた。
引き締まった腰…強く抱けば砕けそうに細い骨盤なのが見て取れる…。
…そして青白くきめ細やかな下腹部の下には淡い薄い下草が生え、百合子の秘められた花園を密やかに守っていた。
触れるのも憚られる…聖なるものを想像させるような美しい身体だ。
忍は百合子の美しい身体に魅せられると共に、下肢から湧き上がる熱いマグマの塊のような強い欲望を感じた。
その肩からガウンを滑らせ、素早くシルクの夜着を脱ぎ捨てた。

頑なに眼を閉じている百合子に、告げる。
「眼を開けて、百合子…」
男の命令に、百合子は恐る恐る瞼を開けた。
そして、驚愕の余り息を飲んだ。

百合子の目の前には、忍の若く引き締まった逞しい肉体があった。
…忍は、夜着の下には何も身につけてはいなかった。




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