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ポン・デ・ザール橋で逢いましょう
第2章 カルチェ・ラタン
業務を終えたナニーを労い、百合子は司の子ども部屋に入る。
小さな天蓋付きベッドで眠る司は天使のようだ。
今日はアランの家で晩餐までご馳走になり、ご機嫌で帰宅をした。
司はアラン一家のアイドルのように可愛がられている。
我が子ながらその社交性に眼を見張るばかりだ。
…私も見習わなくては…。
百合子は司のシャボンの香りがする額に愛おしげにキスをすると、そっと部屋を出た。


隣室の夫婦の寝室に入るなり背後から抱き竦められ、百合子は思わず身体を震わせた。
忍が耳元で密やかに囁く。
「…百合子…司は眠った?…」
「…え、ええ…」
若い男の抱擁にまだ慣れることができない。
つい、身体を硬くしてしまう。
そんな百合子をリラックスさせるように、忍は優しく腕を撫でる。
「今日は何か変わったことはあった?」
百合子はゆっくりと忍を振り返り、微笑った。
「…ジュリアンさんがいらしたわ。私をカフェに連れ出して下さったの」
「へえ…。それは良かったね。楽しかった?」
柔かに笑う忍を見つめる。
「忍さんが、声をかけて下さったのね。…私が引き篭もり勝ちだから…」
「さあ、知らないなあ…。ジュリアンが気を利かせて行ったんじゃないかな」
澄まし顔で答える忍の頬にそっと手を伸ばす。
「…ありがとう、忍さん」
忍はその手を取ると、そっと口づける。
「話を聞かせて…百合子」
「カフェ・ドゥ・マゴに行ったわ。中国のお人形が素敵だった。…それから…」
百合子は背伸びをすると、忍の頬にキスをした。
「…ジュリアンさんが忍さんが如何に私を愛してくれているか…教えてくれたわ」
忍はそのまま百合子の顎を捉え、優しく唇を重ねた。
「そうだよ。毎日、君への愛を実感する。朝起きると僕の腕の中には君がいて…君にキス出来る奇跡に毎日感謝している。
だから、君が笑顔だと僕はもっともっと幸せを感じる」
熱く細やかな愛の言葉に胸が一杯になる。
…この誠実で情熱家の美しい伴侶に、自分は何を返せるのか…考えるだけで切なく、苦しくなる。
けれど、それは愛おしい愛の重さだ。
百合子は涙を見せないように、明るく笑った。
「…カフェではとても美しいひとにもお会いしたのよ。
…でも…」
百合子は自分から忍の貌を引き寄せ、ぎこちないキスをする
「…そのお話は…」
「愛し合った後に聞かせて」
二人は瞳を合わせて微笑んだ。








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