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愛のシンフォニー
第2章 美樹
ふと外を見るとパトカーが駐車場に入ってきていた。

こんな深夜に女子高生と一緒にコンビニになんていたら今度こそオイコラの標的にされてしまうだろう。
下手をすれば女子高生を連れ回したと誤解されて逮捕なんてこともありうる。

「まずいよ、警察が来た」
と徳造は美樹に自分から離れるように頼んだ。

「オッケー、助けてあげる。その代わりまずはお酒でも奢ってよ」

美樹が徳造にウインクすると一瞬でキャバ嬢のような姿になった。髪型も変わったので大人っぽくなった。

「えっ、どうやったの?君は一体何者?」

一瞬で姿が変わった美樹を見て徳造は腰が抜ける程に驚いた。その様子を見て美樹は楽しそうにケラケラと笑う。

「だからあたしは美樹よ。このミキティに不可能はないのだ」

ケラケラと笑いながら美樹は全く答えになっていない返事を返した。その様子は本当に酔ったキャバ嬢みたいである。

ふたりがお酒のコーナーに移動すると二人組の警察官が店に入ってきた。

「お酒飲んでいいの?君は本当は何歳(いくつ)なの?」
と徳造は小声で訊ねる。

「ん、もう、女のコに歳を訊ねるなんて失礼よ。プンプン」
美樹は愉快そうにきゃははと笑う。

美樹と徳造の様子を見て警察官は舌打ちしてレジの方へ向かった。どう見ても酔ったキャバ嬢と客がじゃれているようにしか見えない。

警察官は店員に女子高生が店にいなかったかを訊ねるが、このやる気のない店員は客が少ないのをいいことにSNSゲームに夢中になっていたので、店内のことなんてまるで見ていなくて全く役に立たない。

警察官は舌打ちして店内を隅々まで見回してみるが、女子高生なんてどこにもいないので、女子高生の深夜徘徊、あわよくば連れ回した男を逮捕することでの成績稼ぎは諦めた。

そして、徳造たちに向かってツカツカと歩いてきた。

「アフターか、この後どこに行くのかな?」
「ホテルにでも行くんだろ。カネでいかがわしいことをするのは売春に当たるんだけど・・」

キャバ嬢とアフターをして、カネを渡してラブホにでも行くことを疑っての言いがかりだった。

「バッカじゃないの。キャバクラ嬢ってだけでそんな偏見の目でしか見れないなんて、憐れだね。この人はあたしのカレシなんだから。それともキャバクラ嬢は恋愛をしてもいけないの?」

美樹の迫力には警察官もたじろぐしかない。
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