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愛のシンフォニー
第4章 それぞれの愛
性被害でよくある二重三重の被害というものだ。
性被害に遭った女性は、事情聴取や裁判、はたまた周囲の興味本意で無責任な言動によって、被害に遭った時の思い出したくもないことを何回も思い出させられて傷ついていく。

まさに店長の言動はそれである。
しかも、店長は追い打ちをかけるように辱しめを与えた。

「全く役に立たなかったから、体験入店料を全額払うのは難しいが、触られ代をあげよう」

そう言って店長は3千円を渡した。
3千円・・子供の小遣いじゃあるまいし・・
本気でこれを触られ代だと言うのならあまりに女性を馬鹿にしている。

しかし、自主的に客にキスやお触りをされたり、はたまた個人的にデートをして枕営業をする娘はそんな手当なんてもらってもいない、自主的にするものだというのが店長の理屈。

もはや女のコを商品としてしか見ていない。

「ごめんね、とくちゃん。3千円じゃデート代の足しにもならないね。お尻まで触られちゃったのに。でも、お尻を触られた以外には何もされていないよ。信じてくれる?」

美樹はお尻を触られたうえに3千円ぽっちの触られ代を渡されてまた傷つけられたことなどを思い出して泣きじゃくっていた。

徳造は思わず美樹を抱きしめた。
ギュッと抱きしめた。

「お尻は触られちゃったかも知れないけど、君が無事でよかった。おカネのことなんて心配いらないから、二度と夜の店に行こうなんて思わないで」

徳造は美樹の頭を撫でて、体を売った代償に貴美子から渡された3万円を見せた。こんな汚いおカネは見せたくなかったのだが、美樹を安心させるためにあえてそうしたのだった。

「とくちゃん・・ありがとう」

「僕がいけないんだ。おカネのことで心配をかけたから・・ごめんね。君が無事で本当によかった」

「とくちゃん」

自然にふたりの唇が近づく。が、寸でのところで徳造が躊躇った。
貴美子と激しいキスをして、おっぱいを吸ったりクンニまでしてきた唇で美樹を汚すわけにはいかない・・。

「ご、ごめん、こんな時に。餃子とか臭いものを食べたし、飲み過ぎて吐いたんだ。汚くなっちゃうから、今はやめよう」

咄嗟に嘘をついて徳造は美樹から離れようとする。咄嗟の嘘だけど、汚いというところだけは本当のことを言っている。

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