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愛のシンフォニー
第4章 それぞれの愛
「平気だよ、とくちゃんがあたしとのデートするおカネのために一生懸命にしてくれたことだもん。どんなことだって汚くなんてないよ」

美樹には徳造がしてきたことは大方察しがついていた。優しい徳造のことだから、他の女にキスやクンニをしてきた唇でキスができないことも。

美樹は徳造を抱き寄せて唇を近づけた。
これがふたりのファーストキスだった。
ファーストキスはちょっぴり甘く、ちょっぴり切ない涙の味だった。

「ゲロの臭いも餃子の臭いも全然しないじゃないの。とくちゃんって嘘をつくのは下手だね」

と美樹はきゃははと笑う。

「ご、ごめんね・・」

「いいよ。あたし、このおカネをどうやって稼いできたかなんて興味もないもん。とくちゃんがあたしのために稼いできてくれたおカネだもん」

と明るく言いながら、なぎさが風俗で稼いできたおカネで生活している蒼汰はきっと今の自分のような気持ちなんだと思った。自分にはなぎさのようなことはできないけど、徳造と一緒にいられる今の時間は幸せだと思う。いつまでも終わらなければいいのに・・。

徳造は美樹がたったひとつ見抜けなかった嘘、美樹を愛しながら貴美子にも恋愛感情を抱いてしまったことに大きな背徳を感じていた。

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