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第9章 黒歴史

親の事業の内容も知らずにぬくぬくと何不自由ない暮らしに甘えていた徳造だが、小学3年生の頃に地獄がやってきた。両親が不慮の事故で死んだのだ。

会社は共同出資をしていた叔母が支配することとなり、徳造は叔母夫婦に引き取られることとなった。

不慮の事故で死んだと言えば聞こえはいいが、現実はそんなに生易しいものではない。

まずは父親が自殺をした。
父親は山で自殺をしたのだが、幼い徳造に父親の残酷な姿を見せない方がいいとの配慮から自殺をした父親の姿を見ることはなく不慮の事故で死んだとだけ伝えられた。

父親が自殺したショックから母親は酒浸りの日々を過ごすことになって、程なくして父親の後を追うように急性アルコール中毒で死亡した。
酒に寄って幼い徳造につらく当たった母親が徳造にフラッシュバックしてくる。

叔母に引き取られてから徳造は父母の死の真相を知ることになる。叔母はよく男や同性の恋人を家に連れ込んでいたのだが、恋人といちゃつきながら父母を殺して会社を乗っ取った真相を話しているのをこっそりと聞いてしまったのだ。

父親は雇い入れていたAV女優に手を出していた。
何度もAV女優と情事を重ねるうちに警察がやってきて父親を逮捕した。そのAV女優はまだ16歳の少女だったのだ。16歳の少女をアダルトビデオに出演させたうえに自らも肉体関係を持った罪は重い。

しかし、それは叔母が画策したことだった。
父親は彼女が16歳の少女だとは夢にも思っていなかった。大人びているうえに年齢を詐称していたのだ。
その少女は叔母の息がかかった少女で、叔母に言われるがままに言葉巧みに父親を誘惑していた。

16歳の少女をアダルトビデオに出演させたうえに言葉巧みに自らも食い物にした鬼畜、外道と世間や妻から責め立てられて堪えきれなくなった父親はついに自ら死を選ぶに至ったのだ。

16歳の少女をアダルトビデオに出演させたうえに、そんな小娘に夫を寝取られる・・夫のその裏切りは母親にとって大きなショックだった。失意に駆られて酒に溺れる母親。

執行猶予が付いて父親が戻ってきてからも夫婦の関係は最悪だった。酒に酔って裏切者の夫に怨み辛みをぶつける日々。それは父親が自ら死を選ぶまでに追い詰めていた。

母親がショックを受けたのは16歳の少女をアダルトビデオに出演させたりその少女と浮気をしていたことだけではない。