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女王のレッスン
第3章 ■奉仕のセンセイ
なんてものを見せられてしまったんだろう。こんなことをしてしまう人たちが、私の隣にいたりするなんて。
こんなことを私は、やろうとしているだなんて。
出来るのだろうか。いや、出来る訳がない。違いすぎる、何もかも。
興奮、不安、感動、焦燥、押し寄せる感情の波に流しているのが何の涙かもわからなくなる。
手を叩くことも出来ずに、ただ呆然と真っ暗なステージを見ていた。
照明が灯り現実に引き戻される。
左隣ですん、と鼻を鳴らす音がして見ると、カナちゃんは膝に顔を埋めていた。
その小さな肩をそっと抱く。身体を預けられて愛しさが溢れた。
それを更に右隣が見て、一瞬目を伏せて逸らし無言で私の頭に手を添える。
ステージで座り込む瑛二さんは私達をちらりと見て、「しょうがねえな」と言いたそうな顔で笑った。
横たわる結衣子さんは薄目を開けて笑顔で見てる。
放り出された彼女の手を瑛二さんは握り、穏やかに彼女を見下ろした。
その視線に気付いたのか、上下で視線が交わる。
「瑛二」
周りのざわめきで掻き消されそうなほど小さく澄んだ声、だけど、私の耳には届いてしまった。
「……結衣子」
ふたりだけの世界が目の前で隔絶されたみたいに、ステージ上で愛しげに呼び合う。
それだけだ。だけど、それだけで十分だった。
恋人?主従?セフレ?その程度の言葉の関係性なんて何の意味もない。
このふたりは紛れもなく
『ふたり』だ。
彼と彼女はそういう人格として
『ふたり』として存在していた。