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女王のレッスン
第1章 ■最初のレッスン
「これは勿論鬱血防止。目に見えて紫色になってなくても、指先が冷たくなってきたら拘束を解いて下さい。ありがとうカナ」
出来ちゃった。案外簡単じゃない?
「一回解いてもう一回やってみていい?」
「う、うん」
「解くなら結び目に向かって縄をたわませるといい。解きやすくなります」
「え?あ……」
瑛二さんが私達を見て言った。たわませてみると確かに緩む。
「ほんとだ」
「出来るようになったら今度は後手でやってみようか。手を組ませて背中側に下から縄頭を通して頭の上まで引く。縄を掛ける位置は腕の外側。内側は血管があって危ないから」
「さっきのショーみたいにですか?」
「そう。身体の硬さにもよるけど背中で腕を掴めるならその方が楽かもしれない」
「……わかりました」
もう一回手首だけでやってみる。うん。これは多分もう大丈夫。
「後手するよ?」
「わかった」
柊平が私に背を向け、後ろで手を組んだ。柊平は身体柔らかくないみたいで掴むどころか手首付近がぎりぎり。
さっき上下だったのをそのまま横にするだけだから、これも問題なし。
他の人達も同じような感じにやってる。女の人の方が身体は柔らかい。
「では次のステップ。本結びをする時に4本分の縄の張り、テンションを均一にさせましょう。調べ方は縄と腕の間に指を入れて引き、感覚で」
試しに今のテンションを見てみる。確かになんだかバラつきがある。
一度解いて縛り直しもう一度結ぶ。指の余裕。それからテンション。こんな感じかな?思わず首を傾げた。
「見ようか」
瑛二さんがまた傍に来る。「お願いします」と言いながら横にずれた。
「この一本だけ少し緩いかな。でも上出来」
「ありがとうございます」
自分でも確認。微妙でよくわからないけど、言われたら確かにそんな感じもする。
人に言えるってことは、さっきみたいなショーの中でもそういうのを常に確認しながらやってる訳だ。
凄い世界だと思わず嘆息した。解いてまた縛る。今度はさっきよりいいかもしれない。
「では続き」
今度はカナちゃんの背後で説明が始まった。
「縄尻を真上に引いて結び目を上に、そこを起点に左上腕から右上腕へ回して背を通りまた左上腕へ。縄を通す時は必ず相手の身体から縄を持つ手を離さないで下さい。テンションが緩む上に対象も動いてしまう」