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女王のレッスン
第1章 ■最初のレッスン

「ふーん。柊平はこういうの好きなんだぁ」

彼氏の部屋の本棚の中に見つけた大きめの漫画本サイズの写真集を捲りながら私は呟いた。

「あっ、ちょっと遥香ちゃん!?何勝手に見て……!」

キッチンでお茶の準備をしていた柊平が慌ててソファにやってきてそれを奪おうと手を伸ばす。
私は背中をくるりと向けて防いだ。更に捲る。わお、なかなか過激。

「ね……ねぇ、ほんとさ……」
「で、柊平はどっちがしたい人?」

そう言って私は見ていたページを突きつけた。
女の人が縄で縛られて背中を反らせている写真。顔は見えないけどとっても綺麗。

「し……」

奪おうとしてきた勢いはどこへやら。段々しおれていく様子にやり過ぎだったかと一瞬焦る。
でも言い淀んでいる辺り、これは、もしや。

「縛られる方……」

耳まで赤くして、柊平は小さく口にした。
付き合って1年そこそこ。色々とマンネリもしてきた今日この頃。というか8月の第2土曜日の昼下がり。
私、前嶋遥香の彼氏である戸田柊平がMであることが発覚した。
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