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女王のレッスン
第8章 ■女王のドクリツ

メッセージでも何も言ったことないのに、とキョトンとなった。

「……なんで知ってんの?」
「お前以外の色んな奴が聞いてもないのにお前のこと教えてくれるからな。講習やってんだろ?人気らしいね」

お節介なのか、愛なのか。
でも少なからず嬉しさを覚えて自然と頬が緩む。

「お陰様で。先生がよかったからかな」
「間違いないな」
「瑛二さんだけじゃないけどね。結衣子さんも稜くんも色々教えてくれてるよ」
「あいつらだって元は俺の生徒だ。縄がある限り繋がってる」

相変わらずの瑛二さんの口振りに懐かしさもこみ上げた。
そう。縄がある限り、繋がってる。

「……女王になれたか?」

寂しさはある。不安も、戸惑いも、躊躇いもあれば、恐怖だって襲ってくる。
葛藤して時々負けそうにもなるけれど、それでもなんとか飼い慣らそうとする日々。

「まだまだ程遠いかな。でも頑張ってるよ」
「だろうと思ってる。なんだかんだ安定してる方だよな、お前は」

笑ったのか、息が漏れる音がした。
もっと話したいことがある気がして、でもビルももう間近。
肝心なこと、先に聞かなくちゃ。

「ところで帰ってくるって聞いたんだけどいつ?」
「今」

691の入るビルの前。
さらりと言われたそれに驚いて、足を止めた。

「……はっ?」
「今だよ。家だ。ありがとな、掃除とか色々。今度改めて礼するよ」

何を言っているのだこの猛禽類は。
確かに色々してはいたけど、そうじゃなくて。
今、家?
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