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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
「じゃあ、取り敢えず次の土曜日691に14時に来い。俺と待ち合わせって言えば通してくれる」
「うん、わかった」
受け入れて貰えたことに安堵して、ほっと胸を撫で下ろした。
淹れてもらったコーヒーに口を付ける。冷めていたけど優しい味がした。
「……強えもんだよな」
「え?」
「いや、いざってなると先に立ち上がるのは大体女だよなって思って」
「……それは経験上?」
「ああ。感心する」
「特定の人のこと……って訳じゃなさそうな言い方……」
「博愛主義だからな。それでも思う。こっちの想いをよそに好きな所に行ける身軽さは羨ましいとすら思うよ」
博愛って言う割には、ふっ、と遠い目をして、誰かを想うような顔で言うから
瑛二さんなら縛っていられるでしょう?なんて
思ったけど、言えなかった。
「……それ飲んだら支度しろよ。送ってやる」
「え?平気だよ電車で」
「その顔で電車とか悲惨だぞ。車出すよ。遠くないんだろ」
「……!やだ、ちょっと洗面所借りる」
「何を今更。車だから気にすんな」
「そういう問題じゃない!」
「廊下出て右」
バッグから化粧ポーチを取って慌てて立ち上がった。
あれだけ泣いたのに話すことが出来たせいか立ち直りが早くて驚いている一方で
柊平はどうしているのかが気になる。家に着いたら連絡だけでもしなきゃ。
例えどんな暴言を吐かれても。