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女王のレッスン
第2章 ■縄師のテホドキ
絶対に、聞いてくるだろうと思っていた。
当てていたタオルを取り払って瑛二さんを見据える。
「……まずは瑛二さんの弟子にしてって言いたいとこだけど、この世界の色んなことも知りたい。対等な関係で誰かを傷付けたりしないで、解放させられたらいいって思う。その上で信頼が得られたらって。あと私多分、M、だと、思う……」
「はっ!多分っつか確実だな」
「いっ、いいでしょ別に……」
折角の決意を後半のせいで鼻で笑われて、無駄に赤面した。
だけど瑛二さんは馬鹿にした様子も全くなく、満足げに笑う。
「まあいい。そこまで決まってんなら上等だ」
「……え?」
「ちょうど仕事も増えてきたからアシスタント的な雑用係が欲しいところだったしな」
「本当に!?」
「ああ。だけど、約束しろ」
そう言うと、身を乗り出して鋭い眼差しを私に向けた。
思わず姿勢を正して視線を返す。
「今日のことは絶対に忘れるな。傷付けたことも、自分が感じたことも全部だ。忘れた時点で俺はいつでもお前を見限る」
「大丈夫。忘れない……絶対に」
「弱音吐いても泣き言を言ってもいい。その代わりそれも全部糧にしていけ。苦くても不味くてもお前を殺しはしない。超えていくのはお前の意志ひとつだ」
「……約束する」