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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・
里佳子から電話がきた。
蛍庭園で進と雅斗に偶然会ったあの日から一週間後のことだった。
「もしもし、美智?今電話大丈夫?」
「うん、大丈夫。ちょうど今帰ってきたところだから。でもめずらしいね、電話なんて」
「美智に直接聞いてみたかったの・・先週の土曜日さ、六本木で
進たちとバッタリ会ったんでしょ?その時一緒にいた男の人・・
友達ってどんな友達?なんだか・・親密そうに見えたみたいよ、進たちには。
・・美智、雅治さんとうまくいってないの?他に好きな人ができたんじゃないの?」
里佳子の声に冷ややかさを感じた。
決して責めているわけではないが、こちらの本心を探るような冷静さは
その声から伝わってきた。
進がどんなふうに里佳子に話したのかわからないが、
彼女の声音から疑心が膨れ上がっているのがよくわかった。
「・・とてもいいお友達、それだけよ・・」
見え透いた嘘だと見破られるとわかっていても、私にはそれしか言いようがなかった。