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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・


・・最初は、ただなんとなく、いい人だなって思う程度だったんです。

雅治との関係もマンネリ化していたから、ちょっとした刺激になればくらいに思っていて。

ある日、彼が社に来るようになって間もない頃、偶然街で会ったんです。

彼の時間つぶしに付き合ってお茶を飲んで。

その時の別れ際、私の体の中の熱を放つ何かが気持ちを突き上げて。

また逢ってくださいと自分から言いました。

次はちゃんと待ち合わせをして食事に行って。

欅坂の上にあるお店を出た後、彼と蛍庭園のベンチに座って缶ビールを飲んでいた時、

デジャブを見たの。

そう、この場面どこかで、っていう、あれです。

ずっと前にもここで彼と蛍を見ていた・・

私は・・この人ともっと深い仲になりたい、と体を熱くしました。

そして・・しばらくしてから彼とひとつになりました。

自分でもビックリするほど情熱的になってしまって。

彼を求めることを止められなくなってしまったんです。

私には雅治がいる。

まだお互い結婚しているわけじゃないから二人が恋に落ちてもいけない事はないけど・・

いつかやめなければ、と頭をかすめはしたけど。

そんな時、あなた方に見られてしまったんです、蛍庭園で。

あの後彼は言ってました。いよいよ他人の知るところとなってしまった、

終りが近づいているのかもしれない、と。

私は取り乱しました。

いつかは終わる、わかっていても今はそんな事言ってほしくない・・

・・そうだ、その夜、また夢を見たの。それが変な時代だった。江戸時代みたいな。

お侍と遊女らしき男女の別れ話の場面。私を捨てるなら毒を飲んで死ぬって、

相手の名を何度も呼んでいるとろで目が覚めた・・

なんで時代背景が変なのか不思議におもったけど、

それよりも近い将来彼との関係が終わるのかもしれないって、目が覚めて思ったわ・・


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