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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・
2週間前よりも色濃くなっている紅葉。
蛍庭園にはさらに枯葉が絨毯の様に敷き詰められている。
里佳子は初めて来た、と物珍しそうに庭園全体を眺めている。
デートで来なかったっけ?と進が首をかしげると、
「それ、私じゃないんじゃないの?他の女と来たんじゃないのかなぁ?ん?」と
進の胸に肘鉄をくらわした。
思わず私は笑いをもらす。今日はまだ笑っていなかった。
張りつめた雰囲気がずっと私達を囲んでいたが、里佳子のおかげで
私だけでなくみんなの肩の力が抜けたようだった。
「結婚式の帰り、ここで偶然美智たちを見かけたんだね。
え、池のあっち側からでしょ?堀内さん、ホント目がいいんだね」
里佳子の言う通り、よく私を見つけ出したものだ。
私がここにいる、と知っていたというならまだしも、お互いあの日あの時に
ここにいるなどとは全く知らなかったのだから。
雅斗ももう深刻な表情を捨てて、笑みを浮かべながらあの時を振り返った。
「普通にいたらわからなかったと思う。俺達も披露宴で飲んで出来上がっていたからね。
見つけられたのは・・っていうより、霊がいたから見つけたんだ。はっきり言うと、
稲村さんたちよりも男女の霊の存在を見つけたんだ。
それもものすごく特徴のある霊をね。
今も彼女がいる・・稲村さん、オレ彼女と話をしてみるから、
オレの目を見ていてくれる?」
言われて、雅斗の目を見つめた。
次第に霞がかってきたように、目の前の雅斗の顔がぼんやりとしてきた。
そして意識が遠のいていく感覚に襲われた。

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