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毒蜜喰らわば
第12章 イタコの孫が見通した、愛・・
はっと我に返る。
どれくらいの時間かはわからないが、確かに空白の時間があった。
「なんだか・・意識がはっきりしない時間があったみたいだけど・・」
あたりを見回す私に、雅斗はゆっくりと首を振った。
「ほんの一瞬だったんだよ。でもちゃんと彼女の話を聞けたよ。
あ、ずっと立ちっぱなしで疲れたよね?どっかでお茶でもしよう」
「じゃあ、そこのベンチに座りましょう」
私は、ここで話を聞きたかった。
遊女と蛍庭園をつないでいるものはなんなのかを、ここで聞きたいと思ったのだ。
「そこのランディ・カフェでコーヒー買ってくるわ。みんな座ってて」
「待って美智、私も行くよ」
男2人をその場に残して、ランディ・カフェを目指す。
横断歩道の青信号が点滅するのを見て里佳子がダッシュする。
うっそ、マジで?と叫びながら私も走り出す。
ギリギリで渡り終えた後、体を揺すって笑う私は、
里佳子と咲枝とバス停へと駆けていく高校の帰り道を思い出していた。