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毒蜜喰らわば
第13章 別れも幸せも成就
「美智・・ほんとうは怒っているんじゃないのか?
恋人がいるのにキミと関係を持って・・その間に彼女が妊娠するなんて・・」
ますます顔を曇らせて、せっかくの料理にも手をつけられないでいることが
だんだんと気の毒に思えてきて、つい口から出てしまった。
「楠木さんは、幽霊とか怨念とか、信じる?」
「え?なに?突然・・」
彼の表情は一変し、全く見えてこない話の意図を探るのが精いっぱいのようだが、
さっきまでの曇りきった瞳は無垢な光を得たように開いた。
「う~ん・・たとえ話みたいなものよ。
不確かな気持ちに操られていたんだわ、私の心が。
彼とマンネリ化していて、刺激を求める心の隙があなたを招き入れてしまったのよ。
だからあなたは悪くない。いろんな思いが偶然重なってしまっただけのことなのよ」
やっぱり・・言わずにおこう。
恋を成就できなかったはるか昔の時代に生きた女の怨念が原因だ、なんて
普通は信じられるわけがない。
浅はかな浮気心、と誰もが納得できるような結論で終わらせた方が、
茂だけでなく私自身のためでもあると思えた。
恋人がいるのにキミと関係を持って・・その間に彼女が妊娠するなんて・・」
ますます顔を曇らせて、せっかくの料理にも手をつけられないでいることが
だんだんと気の毒に思えてきて、つい口から出てしまった。
「楠木さんは、幽霊とか怨念とか、信じる?」
「え?なに?突然・・」
彼の表情は一変し、全く見えてこない話の意図を探るのが精いっぱいのようだが、
さっきまでの曇りきった瞳は無垢な光を得たように開いた。
「う~ん・・たとえ話みたいなものよ。
不確かな気持ちに操られていたんだわ、私の心が。
彼とマンネリ化していて、刺激を求める心の隙があなたを招き入れてしまったのよ。
だからあなたは悪くない。いろんな思いが偶然重なってしまっただけのことなのよ」
やっぱり・・言わずにおこう。
恋を成就できなかったはるか昔の時代に生きた女の怨念が原因だ、なんて
普通は信じられるわけがない。
浅はかな浮気心、と誰もが納得できるような結論で終わらせた方が、
茂だけでなく私自身のためでもあると思えた。