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毒蜜喰らわば
第5章 偶然は必然の前ぶれ
「僕もあらためてお礼をしたいと思っていたところです。
 暇つぶしのコーヒーをご馳走したくらいじゃ申し訳ないなって。
 今度はきちんと約束して食事にお誘いします。
 僕の誘い・・受けてくれますか?」

ゆらゆらと意識が揺れる中で、小さな声が聞えてきた。

・・約束して・・約束して・・

えっ?何この声・・誰なの?誰の声なの?

誰かが、縋りつくように懇願する声が私の耳の奥で語りかけてくる。
もしかしたらこれは、自分の中の別の生き物、の声なのだろうか。
いや、そんなはずはない。
だいたい、誰がいるっていうんだ?
なにかに憑かれたわけでもあるまいし。

きっと・・
不実な行為を承知の上で認めたい、その言い訳が幻聴となって聞えてきたのかもしれない。

そういう幻想を作り出したのかもしれない・・

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