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毒蜜喰らわば
第5章 偶然は必然の前ぶれ
それから4回、同じ月曜日を繰り返した。
交わす言葉は天気の事や、時には新商品の説明という
本当の意味でのセールストークであったり。
初めて会った時と全く変わらぬ笑顔で受領書のやり取りをする。
私の心の中には正直、まだかまだかと焦りの気持ちも芽生えていた。
だがここはじっと我慢。
とにかく彼を信じて、ひたすら電話を待っていた。
そしてようやく、茂から電話がきた。
表参道で電話番号をかわしたあの日から、
数えて36日目の夜だった。
雅治専用の着信音以外の音が部屋に響いた時、直観的に茂だと思った。
冷蔵庫をあけっぱなしにしてまで
テーブルの上のスマホに向かって飛んで行った。
表示されている名前は思った通り、楠木茂だった。