この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
毒蜜喰らわば
第5章 偶然は必然の前ぶれ
「もしもし、稲村さんですか?楠木です」
声を聞いて、スマホを持つ手が少し震えた。
「こんばんは。お電話ありがとうございます」
「今、大丈夫ですか?」
聞かれて、急に冷蔵庫に目がいった。
大丈夫です、と言いながら慌ててキッチンに戻って冷蔵庫を閉めた。
「お約束していた食事なんですけど、今週の金曜日の夜はご都合いかがですか」
「はい、大丈夫です」
「で、お連れしたいお店が六本木なんで、待ち合わせは六本木でもいいですか?」
「ええ、じゃあ、欅坂のランディ・カフェで待っています、いいですか?」
「わかりました、では金曜の夜7時に」
ようやく・・約束が叶った。
スマホを切った後ニヤケた顔を鏡に映してみる。その時・・
自分の顔が別人の顔の様に見えた。
色香を含む目じり。だらしなく半開きになった唇が、
普段よりもぽってりと厚く見える。
鏡を見つめて声にならない悲鳴を上げる。
でも一呼吸してあらためて鏡を見ると、風呂上がりの、
すっぴんのパサパサとした自分の顔がそこにある。
いやだ、ビックリした・・
嬉しさに舞い上がって幻覚でも見えたのかしら?
気を取り直して再び冷蔵庫をあける。
これが祝い酒ってやつね、とひとり言を言いながら
缶ビールのプルタブの音を響かせた。
声を聞いて、スマホを持つ手が少し震えた。
「こんばんは。お電話ありがとうございます」
「今、大丈夫ですか?」
聞かれて、急に冷蔵庫に目がいった。
大丈夫です、と言いながら慌ててキッチンに戻って冷蔵庫を閉めた。
「お約束していた食事なんですけど、今週の金曜日の夜はご都合いかがですか」
「はい、大丈夫です」
「で、お連れしたいお店が六本木なんで、待ち合わせは六本木でもいいですか?」
「ええ、じゃあ、欅坂のランディ・カフェで待っています、いいですか?」
「わかりました、では金曜の夜7時に」
ようやく・・約束が叶った。
スマホを切った後ニヤケた顔を鏡に映してみる。その時・・
自分の顔が別人の顔の様に見えた。
色香を含む目じり。だらしなく半開きになった唇が、
普段よりもぽってりと厚く見える。
鏡を見つめて声にならない悲鳴を上げる。
でも一呼吸してあらためて鏡を見ると、風呂上がりの、
すっぴんのパサパサとした自分の顔がそこにある。
いやだ、ビックリした・・
嬉しさに舞い上がって幻覚でも見えたのかしら?
気を取り直して再び冷蔵庫をあける。
これが祝い酒ってやつね、とひとり言を言いながら
缶ビールのプルタブの音を響かせた。