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毒蜜喰らわば
第6章 dejavu・・?
高層タワーの足元にある日本庭園は、小さな池と
それを取り巻くように桜や紅葉などの木々が根を張る。
木製の看板には「蛍庭園」と書いてあるのを、改めて知った。
遊歩道に並ぶベンチには、他にもカップルたちが夕涼みをしていた。
その中に加わるとまるで自分たちも、恋人同士のような気分になる。
さっそく茂は缶ビールを開ける。
プシュッという音が思ったよりも響いて、
隣りのベンチに座るカップルが私達を見て小さく笑っていた。
「あぁ、風が気持ちいいですね。星はさすがに見えないけど、
なんだかリラックスするな」
黒く揺れる頭上の葉を仰ぎ見る男の横顔は、
ますます私の中をかき乱した。不思議だ。
「知ってます?この庭園って歴史が古くて、昔は蛍がたくさんいたんだって」
茂に教えられて初めて知った。
「へぇ!そうなんですか、知らなかったなぁ。何度もここを通ってるのに全然・・
だって、ここの名前だって今知ったんですもの。私って観察力ゼロなのね」
照れ笑いを浮かべて池を眺める。
蛍、飛んでこないかなぁと、時空をさかのぼって
たくさんの蛍が乱舞していた頃を想像し、茂の横顔に視線を送る。
と、その時・・・