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毒蜜喰らわば
第8章 禁断の扉が開いた・・
薄暗い廊下が背徳感をあおり立てる。
きらびやかさに彩られたラブホテルのドアは、
笑いたくなるほどシックなデザインだ。
恋人同士ではない私達には不似合いだ、と
願いが叶う前の頭の中は変に冷静だった。
部屋の真ん中に大きく存在するベッドを前に、
これから起こる事への覚悟を決めるかのように肩で大きく息をした。
その様子を見た茂は、両手で私の頬を包んで自分の顔を近づけてきた。
ゆっくりと、数々の言い訳を息で吹き払うかのようにゆっくりと、
その唇を近づけてきた。
私の唇は、
初めての舌を受け入れるためにふんわりと開く。
遠慮がちな隙間に入り込んできた舌は、グレープフルーツのような甘酸っぱい味がした。
塞がれた口の中で茂の名を繰り返す。
無我夢中でキスをしながら、そのうち口の中の言葉が
なんて言っているのかわからなくなった。
茂、とその名を呼んでいたと思うのだが、
彼の指がブラウスの釦にかかる頃には言葉は形を失っていた。