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毒蜜喰らわば
第8章 禁断の扉が開いた・・
私は・・
彼の胸に顔をうずめ、彼の背中に腕を回した。
私が込める力と同じくらいの力を自身の背中にも感じたい。
茂に・・抱きしめてほしい。
気持ちを伝えるようにさらに彼の背中に回した腕に力を込めると、
期待通りの激しさを返してくれた。

ギュッと私の体を抱きしめる茂の体が隙間なく密着する。
互いの膨らみがつぶれるんじゃないかと思うくらい、その力が強くなっていった。

「楠木さん・・私・・あなたに・・」

抱かれたい、そう喉まで出かかるくらい、欲情している自分が不思議だった。
自分から積極的に体を開くタイプではなかったのに、
今は真逆の心に支配されている。

これは、純粋に楠木茂という男に魅かれてのことなのか、
それともマンネリ化している恋人へのあてつけなのか。
そのどちらか、なんて答えを探す余裕などないくらい、
私の体は愛欲に燃えていた。
だが、自分の気持ちだけではどうにもできない。
茂の気持ちはどうなのか。

彼の首筋越しに表情を伺うと、目を合わせた茂は黙って頷いた。
一呼吸おいてゆっくりと体を放すと、私の腰に手をまわしたまま、
何も言わずに歩き出した。
私も黙って彼に従う。
無駄に激しいクラクションの音も耳を素通りするくらい、
心臓の鼓動が体の中で響きまくっていた。


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