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毒蜜喰らわば
第10章 現れはじめる変化

               *

飽きもせず、私は待ち合わせ場所に蛍庭園を指定した。

金曜の昼休みにその日の仕事状況をメールで確認し合うと、
今日は少し仕事が長引きそうだと書いてあった。
8時くらいになってしまうから女性一人で夜の公園で待たせるのは気が引けると
返事がきたが、大丈夫だからと強く推した。


だが、茂の心配は的中した。
蛍庭園には何組かのカップルや通り抜ける人がいたので、
一人で待っていても心細さは感じなかったが、
8時を10分過ぎても来ない待ち人を今か今かと待っていると、
少し酒に酔っているサラリーマンらしき男が私に声をかけてきたのだ。

「彼女、一人なら俺と飲みに行こうよ」

「いえ、待ち合わせなんで・・」

「でも誰もいないじゃん?なあ、行こうよ」

酒臭い息が頬にかかるほどの近さに顔を近づけられ、
体をよけたところにタイミングよく茂が走ってやってきた。

私に絡む男を見て、ものすごい剣幕で茂が怒鳴り始めた。
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