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毒蜜喰らわば
第10章 現れはじめる変化
「おまえなにやってんだ!彼女になにした!」
耳元で怒鳴られた男は、フラフラとしながら私から離れていったが、
茂はさらに食って掛かろうとしていたので、
「なにもされてないから!大丈夫だから!」
と半ば叫びながら茂の腕を力いっぱい引いた。
と、その時、またしても・・
この光景、この横顔・・
前にも見た事がある。
確かに、こんな場面が・・
私を守って相手に挑もうとしている男の袖を引く、私の姿・・
結った髪の後れ毛をなびかせながら、おやめください、と叫ぶ私・・
え?
おやめください?
なにこの時代劇みたいな言い方。でも確かに、そう言った・・
私の動きはピタリと止まり、気が付くと酔った男はすでにいなくなっていて、
息を荒くした茂を周りの何人かが見ながら行き過ぎる。
落ち着きを取り戻した茂は、いつも通りの穏やかな顔に戻り私の体を引きよせた。
「大丈夫だった?ごめんね、怖い思いさせて。僕が遅れたりしなければ・・」
「大丈夫よ、なにかされたわけじゃないの。ただからかわれただけだから・・」
それにしても・・
さっきの茂はまるで人が変わったようだった。
男なんだから、いざとなったら戦いの顔を見せるのだろうが、
なんだか顔つきまで違って見えた。でもそれは、
私を守ろうと必死になってくれたからなんだ。
嬉しくなってすがりつく私を、茂は優しく撫で続けた。
「すぐに・・キミを抱きたい・・」
耳元でささやくと、返事を聞かぬまま、ホテルへの道を私の手を引いて歩き出した。
耳元で怒鳴られた男は、フラフラとしながら私から離れていったが、
茂はさらに食って掛かろうとしていたので、
「なにもされてないから!大丈夫だから!」
と半ば叫びながら茂の腕を力いっぱい引いた。
と、その時、またしても・・
この光景、この横顔・・
前にも見た事がある。
確かに、こんな場面が・・
私を守って相手に挑もうとしている男の袖を引く、私の姿・・
結った髪の後れ毛をなびかせながら、おやめください、と叫ぶ私・・
え?
おやめください?
なにこの時代劇みたいな言い方。でも確かに、そう言った・・
私の動きはピタリと止まり、気が付くと酔った男はすでにいなくなっていて、
息を荒くした茂を周りの何人かが見ながら行き過ぎる。
落ち着きを取り戻した茂は、いつも通りの穏やかな顔に戻り私の体を引きよせた。
「大丈夫だった?ごめんね、怖い思いさせて。僕が遅れたりしなければ・・」
「大丈夫よ、なにかされたわけじゃないの。ただからかわれただけだから・・」
それにしても・・
さっきの茂はまるで人が変わったようだった。
男なんだから、いざとなったら戦いの顔を見せるのだろうが、
なんだか顔つきまで違って見えた。でもそれは、
私を守ろうと必死になってくれたからなんだ。
嬉しくなってすがりつく私を、茂は優しく撫で続けた。
「すぐに・・キミを抱きたい・・」
耳元でささやくと、返事を聞かぬまま、ホテルへの道を私の手を引いて歩き出した。