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梅の湯物語
第9章 梅の湯のお梅さんになったわけ
それにしても今日はよく蝉が鳴く
ここのところ頻繁にあった空襲が今日はまだ一度もないことに大きなセミの声で気付いた。
「お梅 大切な放送があるらしい」
母に呼ばれ居間に行くと紋付きの留め袖を着た祖母がラジオの前で正座していた。
ーー何事だろう?
お梅は祖母の姿に違和感を覚えながら、母と共に祖母の後ろに座った。
しばらくして流れてきたのは玉音放送
お梅は始め何を言っているのか分からなかった。
ーー戦争が...終わったの?
日本が...負けた?
祖母と母は一筋の涙を溢していた。
「何でもっと早く...」
母が噛みしめた唇から声を漏らす。
お梅も泣いた。
やっとはばからず泣くことが許された瞬間だった。
父の戦死の知らせが来たのはひと月前のこと
ーー元通りになんて
ならなかったよ おじちゃん
ここのところ頻繁にあった空襲が今日はまだ一度もないことに大きなセミの声で気付いた。
「お梅 大切な放送があるらしい」
母に呼ばれ居間に行くと紋付きの留め袖を着た祖母がラジオの前で正座していた。
ーー何事だろう?
お梅は祖母の姿に違和感を覚えながら、母と共に祖母の後ろに座った。
しばらくして流れてきたのは玉音放送
お梅は始め何を言っているのか分からなかった。
ーー戦争が...終わったの?
日本が...負けた?
祖母と母は一筋の涙を溢していた。
「何でもっと早く...」
母が噛みしめた唇から声を漏らす。
お梅も泣いた。
やっとはばからず泣くことが許された瞬間だった。
父の戦死の知らせが来たのはひと月前のこと
ーー元通りになんて
ならなかったよ おじちゃん