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梅の湯物語
第13章 関西からのお客さま
良太さんに手を引かれながら梅の湯の暖簾をくぐる。
こんなのは何十年ぶりだろうかと汐さんは少し胸をときめかせていた。

男湯と書かれた引き戸を引く良太さんに

「こっちは男湯ですよ」

慌てて声をかける。

「どっちでも一緒だ」

返ってきた言葉と共に目の前に広がる光景

広い脱衣所に長テーブルと座布団
沢山の持ちよりのお重やタッパーの並んだテーブルのまわりには
座布団を枕にして寝転ぶお爺さん、ゲラゲラと笑い転げるお婆さんたち、素っ裸で風呂から出てくる爺さん、婆さん。暑い暑いと上半身裸で垂れた胸を隠すこともなく料理に箸をつける婆さん...

汐さんは驚きのあまり声もでない。

「お!良さん戻ってきたか。
 そっちが汐さんか。
 手を繋いでお熱いな」

ちょっと冷やかしの声が聞こえる。

「良太さん...」

呆然と隣の良太さんに声をかける汐さん

「だから、何を見ても驚くなって言っただろ」

「でも...」

小声で会話する二人

「ほら、いまでも手を繋いで立ってないでお座りよ」

自分の隣に座布団を二つ用意して手招きをするお婆さん。
爺さん婆さんといっても自分達とそう歳は変わらなそうだ。

「重さんのお知り合いだって?」

「ええ」

手招きしてくれたお婆さんが取り皿と箸を用意してくれる。

「私は富美っていうの。
 よろしくね
 遠慮なく食べてちょうだい」

「はい。
 私は汐です」

汐さんは富美に向かってゆっくりと頭を下げる。

「しおさんか。
 素敵な名前だね。
 飲むかい?」

向かいに座る男性が汐さんに瓶ビールを差し出す。

「いえ、私は」

汐さんは完全に面食らっている。

「ちょいと、庄五郎さん。
 汐さんはご主人と一緒に来てるんだよ。
 いくら可愛いからって口説いちゃだめだろぉ」

富美にたしなめられて庄五郎は後頭部を叩く

「いけねぇなぁ。
 この辺のババァにはない奥ゆかしさがあったもんでな」

「なんだって?」

庄五郎も富美もガハハと笑っている。

汐さんは完全に目が点...

 可愛いいって...
 口説くって...

自分はもうすっかりお婆ちゃん
そのうち曾孫も生まれるだろうっていう歳になったのに

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