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梅の湯物語
第13章 関西からのお客さま
ジジイだのババァだのと貶しはするが、まるで学生のような雰囲気。

いつのまにか隣にいた良太さんはお爺さんたちに囲まれ遠くの席でビールを飲みながら真っ赤な顔をして大笑いしている。

富美さんと話をしながら煮豆を食べていた汐さんの箸から煮豆がコロンと床に落ちた。

「あらら...」

腰を屈めてテーブルの向こうに転がった煮豆に手を伸ばす。指先に掴んだ煮豆を確かめようと顔を向けると
斜め前に裸で座っていたお爺さんの腰に置かれたタオルの隙間から

汐さんはビックリして頭をあげた

ゴン!
鈍い音がして

「あいたたたた...」

真っ赤な顔をして頭を撫でながら汐さんが顔を出す。

「大丈夫かい?」

裸で平然とビールを飲むお爺さんが汐さんを心配して声をかける。

「あっ...はぁ...大丈夫です」

うつ向きながら応える汐さんに

「汐さんは可愛いなぁ。
 ここにいるババァたちとは偉い違いだ」

庄五郎さんが汐さんの様子を見ながら笑った。

様子を察した富美さんが

「ああ、ここの人たちはみんな混浴で育ったからね。
 みんなこーんな頃から見慣れてるからなんとも思わないけど、汐さんには刺激が強すぎたかね」

富美が小指を立ててみせる。

「だれがこんなだ。
 俺のはこれくらい立派だぞ」

敏夫が太巻き寿司を手に取る。

「こっちの間違いだろ」

富美が揚げ浸しのなかでしんなりしている茄子を取り出す。

「どっちでもいいさ。
 どっちにしてももう役にはたたねぇだろ」

庄五郎の言葉にみんながそれもそうだとがおかしそうに笑う。

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