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第3章 早朝営業は憩いの場

しかし、いくつになっても男が追う女がいる。

その人の名は“千鶴”さん


その昔千鶴さんは売れっ子芸者だった。

大物代議士や経済界の重鎮とも浮き名を流した過去がある。

戦争で身寄りを無くした千鶴さんは
茶屋の女将に拾われ三味線や踊りを仕込まれ神楽坂や赤坂のお座敷に出ていた。

自分を贔屓にしてくれていたお馴染みさんが次々世を去りはじめると千鶴さんは生まれ故郷の梅之木町へ戻ってきたのだ。

長いこと芸者をやっていた千鶴さんはやっぱり下町の女とは雰囲気が違う。

高嶺の花だった千鶴さんが梅の湯に来るようになると爺さんたちが日参するようになった。