この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
FUJITAYA
第2章 アラン模様の意味
「おばあちゃん、遅くまでありがとうね。」
寝ているだろうおばあちゃんの部屋に向かって、小声で話しかけてみた。返事がないので寝たのだろう。
悲しんでいる彼女を思い出すと胸が痛くなるが、自分に身体を預けてくれたことや、彼女の意外な一面を見ることができ、また明日も頑張ろうと思える。
アラン模様を勧めたのは、もっとこの店に通ってほしいと思ったからだ。もっと会って、もっと彼女のことを知っていきたい。
「……きっとおばあちゃんにはバレてるんだろうな…」
「…頑張りなさい。」
「……。」
「己の欲のために、初心者に難しい柄を勧める意地の悪いところがあっても、要は私の孫。何も責めたりせん。」
「…責めてるようにも思うけど…」
彼女の顔を思い浮かべるだけで、心が温まる。月を見ていると、くしゃみが出て、少し肌寒くなったと改めて感じさせられた。