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FUJITAYA
第2章 アラン模様の意味
「ここまでよく編めたねぇ、でも、残念なことに一からだよ」

「えっ!?」

 作り目の数が合っていない、棒編みだから裏を向けて編んでいるときは編み図の表編みと裏編み逆にしないといけない、きつく編みすぎだから長さも足りていない、落ちている目があるなどたくさんの指摘を受けた後、私の一週間の成果が先生の手により一本の長い糸に戻ってしまった。
 ほどいているときも、こんなに引っかかっているのは変なところに通して編んでいるのよと教えてくれたが、軽く頭の中はショートしていた。基本の作り目や、編み方を教えてもらい、5段目まで編めた時にお開きになった。


「それでも初心者なのにコツコツと編んでいたことはすごいと思うよ。でも、何においても最初が大事。あなたは一つ一つ丁寧に積み上げていくことが得意だけど、その土台となるところがダメだったらすべて崩れていくからね。最初だからこそ手を抜いてはいけないんだよ。また時間が空いた時でいいから、おいでね。夜遅くまでありがとう。」

 藤田さんの車に乗り、家まで送ってもらう間も、先生の言葉が頭の中に残った。



 藤田さんは私が降りるときに、それでも鮫島さんは何も悪くないからね、と言った。まるで私の心の中を覗くエスパーみたいだと思った。それは、求めていた言葉でもあるから。

 でも、やっぱり最初にあやふやにした私が悪い。ちゃんと告白したから悪くないなんて間違ってる。何も悪くないのはここちゃんだけ。

 成本さんにこのマフラーをあげたって意味がない。だから、私の手で意味のあるものにしよう。

「これは、もう二度と同じ間違いを起こさないために…」

もう間違わない。あと1段だけ編んで寝ようと、編みかけのマフラーを手に取った。




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