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FUJITAYA
第3章 手作りの気持ち
「鮫島さん、今週の金曜日、仕事の後、空いてる?」

 FUJITAYAに通い、先生に教えてもらったおかげで模様を綺麗に編むことができた。仕事が終わり、疲れていない日はFUJITAYAに行くことに決めたことで、週に3回ぐらい行っている。そんな私に嫌な顔一つせず、いろんなことを話してくれる先生や、帰りに絶対に送ってくれる藤田さんと過ごす日がすごく楽しくて、充実していた。そんな時、いつものように車で送ってくれる藤田さんに言われた。

「特に何も予定はないですよ~、今の私にはFUJITAYAに行くことしかないです。」

「いやいや、会社の飲み会とかはないの?」

「時々ありますけど、今週はないです!」

「そっか。じゃあ、おばあちゃん達が言ってた新しい店、一緒に行かない?」

「へっ?」

 FUJITAYAには、先生と同年代のお客さんもいて、ランチがすごく美味しい店に行ってきた話をしていた。そこは、先月にオープンしたばかりのお店で、ディナーもしてることを知っていたので、いつか行きたいなと思いながら、その話を聞いていた。

「2人でだけど、どう?行きたくない?」

 聞き方がズルすぎる…。
 藤田さんのことは、嫌いではないけど、まだ好きと言えるようなところまではいってなくて…。まだ好きじゃないって、じゃあ、もう少しすれば好きになるの?と自問自答を繰り返していると、藤田さんに笑われた。

「ははっ、すごい顔になってる。そんな深く考えずに、気になるお店にちょっと仲が良くなり始めた人と行くでは、だめ?」

「仲が良くなり始めたって…」

「あれ?間違ってる?」

 断れないような聞き方しかせずに、この人はズルいなと思いながら、19時にFUJITAYAで待ち合わせをすることになった。


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