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FUJITAYA
第3章 手作りの気持ち
遅れそうなら電話してと、連絡先を交換した。その番号を少しだけ見つめて、電話をかける。時間潰すところを探せばよかったんだけど、なんだかそういう気持ちになれなくて…
「もしもし?」
「藤田さん、ごめんなさい。仕事早く終わってしまいました。」
「えっ!じゃあ、うちで待ってもらってもいい?まだ準備してないんだ」
「そのつもりでFUJITAYAの前にいます」
「えぇ!?入っておいでよ!」
店の奥から小走りで出てきた藤田さんがおかしくて、笑ってしまった。
「ごめんね、ちょっと待ってて…。なんかいつもスーツで見慣れているから、そういう恰好新鮮でいいね、似合ってる。」
ちゃっかりこういうことも言えて、今更ながらモテるだろうなぁと思った。身長も高くて、顔はとびきりイケメンではないけど優しさに満ち溢れて、笑顔が絶えない人。一緒にいたり、話していると、心が温まってくる。藤田さんはそういう人だ。