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FUJITAYA
第4章 好きになってしまう
今日はなんだか彼女と公園で出会った時のような感じがした。それは何から感じたのかはよく分からないけど、彼女がまた泣いているんじゃないかと気になって気になって仕方がなかった。
思い過ごしであってほしいと願いつつも、もしこの予感が当たっているのなら、俺が受け止めてあげたいと思い、連絡を待った。
そして、彼女が苦しんでいた。正直、自分のことをエスパーだと思った。
苦しむものを全て取り除いてあげたいけど、自分で乗り越えないといけない時もある。どれだけ関わっても彼女の気持ちまですり替えることはできない。だから、気持ちがうまくコントロールできない時、俺はその捌け口になりたいと思った。
彼女と会えたこと、話せたこと、抱きしめることができたこと
美里という名前が分かったこと、要と呼ばれたこと
一緒にいると俺が幸せになってしまう、と思いながらうまく顔を引き締めることができなかった。
「要君!久しぶり!」
FUJITAYAに戻った時、緩みっぱなしだった俺の顔がすぐに引き締まった。
内心危なかったと思いながら、寒くなってきたにも関わらず店の前で待っていた彼女を叱り、店の中に入れた。