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甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第13章 消えた記憶

怒りが治まらない俺は、女の腕をその場で振り切った。


「お前、この前barのマスターに絡んでただろ?」

「はっ?何の話?」


俺の言葉に女は、ムッとした表情を浮かべた。

いやいや、お前がムッとすんなよ!

イライラしてんのは、俺の方だからな!

しかも、知らないふりかよ!


「誤魔化してんじゃねーよ!あんなにマスターに問い詰めてたくせに、他の男か?」

「あんたこそ、何言ってんの?マスターって何よ!誰かと間違えてんじゃないの?」

「紫艶ってあんなに、マスターの事呼んでただろ?」

「…?あんたこそ、頭おかしいんじゃないの?私は、紫艶なんて知らないわよ。夢でも見たか、人違いよ。」


女が冷静に答えた。

その顔は誤魔化してるようには、見えない。
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