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行こうぜ、相棒
第10章 This is the time



エリは食事を終え、麦茶を飲んだ。
そして小さくため息をつくと、言った。
「あなたがそのアレクサンドライトの指輪を初めてしてきた時のこと、覚えているわ」
「なによ、そんな古い話」リエは自分の指輪を見ながら言った。
「あなたはそれをつけて、ひとりで生きていけるようになったんだな、と思ったのよ」
「そんな大げさなものじゃないわ。あの時付き合ってた人に――」
リエの言葉にかぶさるように、エリは言った。
「あなたはあの時、恋人をもって、あの地下室の呪縛から逃れたのね。その指輪をつけることで、あなたはもうあなたの人生を生きられるようになった。私とふたりでひとりの生き方でなくね」
エリは目の前に座る妹の目を見ながら、静かにそう言った。
リエは目をそらした。
「お姉ちゃんは何もかもを大仰に考えすぎるのよ…」
「そうかもしれない」
「でも…。確かに私たちは壊れていた。それは認めるわ」
リエも麦茶を口につけた。
「あの地下室の日から、私たちのモラルはどこかねじれて、おかしくなっていった。私はずっとそのことに気づかなかった。パパとママが消えて、学生時代からAVの仕事を始めて。金持ちの気のふれた道楽、と陰で言われたこともあった。でもそんなこと少しも気にならなかった。エ子だって私を止めなかったよね」
「そうよ。私もあなたの知っている人も知らない人も含めて、何人の男と寝たかわからないわ。人のことは言えない」
「でもあの時、先生と出会って、認めてもらって。私はきちんとした演技のできる俳優になるって決めたの」
「ええ。あなたはとても立派になったわ。そのことは私がいちばんよく知っている」

エリは7年近く続けたAV女優の仕事を一昨年、『引退』した。賞味期限切れで需要がなくなったから辞めるだけなのに、事務所は『引退』と名付けて彼女の出演作の価値を高め、もうひと儲けしようと画策した。事務所からは制作や経営の裏方としてそこに残ることをオファーされたが、エリはそれを全て断り、その業界からは脚を洗った。そして、舞台女優としてのキャリアを積み始めた。



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