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行こうぜ、相棒
第11章 It’s a Mistake
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気がついたとき、柏木はボロボロに破壊されたコンクリートの部屋の中で両手を上げて吊るされていた。
上半身は破けたシャツ一枚。下半身は軍用の迷彩ズボンをつけていた。多少の打撲や擦り傷はあるものの、大きな怪我はなかった。
充血した目をした黒光りする肌の反乱軍の兵隊がやってきて、彼に何事かを話しかけた。その当時のジンバブエの公用語は12もあり、彼が理解できるのはそのうち4つの言葉だけだった。そして残念ながら、その兵士の甲高い声で話される言語は、彼の辞書にはない種類のものだった。
そうこうするうちに、兵隊たちの数は増えた。
彼らは興奮して何事かを大声でわめき立てていた。柏木は本能的に恐怖を覚えた。明らかに良からぬことが自分の身に降りかかることが予感された。
やがて彼はここが、つい先日まで彼らが投宿していた都心のホテルであることに気づいた。戦火で半分破壊されてはいるが、窓の外には見慣れた首都の景色が見えた。光の加減から、時間はまだ午前中であることが分かった。
不意に。
彼の背後から、腰を押さえつけられたのが分かった。
そして、ベルトを緩められ、迷彩ズボンを膝まで下ろされた。
高い声で、黒人兵士たちが何事かを叫んでいる。
彼は全身に冷や汗をかいていた。